サボテグロン
「サボテグロン」

仮面ライダーの敵・ショッカーの改造人間のスタイルは、正式にサボテグロンの登場で決まったのかもしれません。
蜘蛛男からトカゲロンまでの改造人間はショッカー草創期の改造人間であったものの、仮面ライダーを相手としない作戦遂行から仮面ライダーを意識した作戦遂行まで変わっていきますが、そこで仮面ライダーを倒しきれないということは想定されていまあせんでしたから、次への展開が感じられませんでした。
対仮面ライダーという意味ではゲバコンドルがそれ専用の改造人間として登場してきましたが、それでも打ち破られる展開はトカゲロン登場にまで至りました。
単体では仮面ライダーを打ち破れない、それはゲバコンドルが倒されるてしまうことである意味一つの限界を迎えていたのかもしれません。
改造人間単体での限界は、作戦遂行上の指揮者が必要で、大柄だったトカゲロンにいつの間にかその役が回っていました。
しかし、トカゲロンにその指揮者としての意識はなく、自惚れが強かったためにせっかくの強い肉体が生かせず、仮面ライダーが特訓強化を果たしていたことで敗れ去りましたが、ここでショッカーは作戦遂行上の指揮者の存在を意識せざるを得なかったのかもしれません。
いわゆるショッカー幹部の登場は大幹部としては後にゾル大佐が登場してきますが、初めてのショッカー幹部怪人はサボテグロンだったように思います。
サボテグロン登場の前のショッカーの動きは、作戦遂行のための指揮者として幹部を登場させることにあったわけでその動きが欧州で明確になったためにそれを追って仮面ライダー旧1号が欧州に飛んだようです。
しかし、その作戦のためにショッカーは仮面ライダー旧2号を生んでしまう羽目となり、サボテグロンは仮面ライダー旧2号が初めて戦う相手となってしまいました。
作戦の変化は仮面ライダーも変わってしまうという皮肉めいたことは、如何に幹部改造人間を登場させても敗れ続けて行ってしまったことに表れていましたね。
でも、このサボテグロンの登場はそれまで素体の能力に頼った改造人間から、それだけではない能力まで秘めた改造人間の登場にまで引き出していたように思います。
サボテグロン④
サボテグロンはサボテンがモチーフとなった改造人間です。
ですから植物型となりますが、植物型といえばサラセニアンが登場していましたけど、サボテグロンにはサラセニアンからは想像できない強力さがあったと思います。
とげが生えたサボテグロンの身体は柔らかい鋼鉄制でかなり強固なものであり、サボテグロンが携えていたサボテン型の棍棒は鋼鉄製であったはずです。
しかも、「メキシコの花」と呼ばれた大きな爆発力があったサボテン型の爆弾は、サボテグロンの身体に比例したかのような強力な武器でした。
そこにサボテグロンの指先からはミサイルまで発射していましたから、サボテンという植物だけでは語れない身体の強力さがあったはずです。
ショッカーメキシコ支部からその成果を飼われて来日した際、人間に化けて滝までをも騙し、捕まってしまった戦闘員は始末してしまうところ救出しようとするところなど、作戦遂行のための指揮者としてはそれまでの改造人間には見られない側面も見せていました。
ただ、打倒仮面ライダーを意識して日本にやってきたものの、それは仮面ライダー旧1号を意識したものであったはずです。
同じ仮面ライダーとはいえ、まるでタイプの違う仮面ライダー旧2号の動きはサボテグロンの脳裏にはなかったと思います。
作戦をことごとく交わされ続け、幹部としての意識は「メキシコの花」を身体中にぶらさげて仮面ライダーに突撃していくという最後の作戦に見て取れますが、これはショッカー首領の期待に応えようとし続けたサボテグロンの意地だったかもしれません。
ライダージャンプでかわされ、自爆の最期となりましたが、サボテグロンの登場はそれまでのショッカー改造人間への意識・見方を変えてくれたような気がします。
サボテグロン②
サボテグロン⑥