「タランチュラ」
怪奇性は、明治中期から昭和初期の西洋めいた設定がより如実になると思います。
ウルトラQに登場したタランチュラの話も、怪奇性を打ち出すにはこの上ない物語でした。
確か、この時から90年くらい前の時代にクモ好きな男爵が一人娘と館に住んでおり、その男爵は世界中からあらゆるクモの収集を行っていました。
男爵が集めていた中の1匹、毒グモであったタランチュラが一人娘の足を噛んでしまったため、その毒にやられた一人娘は気が狂って、館の傍にあった沼に落ちて死んでしまいました。
男爵が気が狂わんばかりの状態となりましたが、沼に落ちて死んだはずの娘がタランチュラとなって蘇り、男爵とともに静かに館に住んでいたという話でした。
娘が転生した先がタランチュラということなんでしょうけど、いかにも設定された時代が近代文明を目指してまだ混乱していた時代で、妖怪も西洋モノが入り込んでくるのがピッタリの時代観があったところが裏打ちされたような感じがありました。
そこが怪奇性を打ち出すにはよかったんでしょう。
ウルトラQ放映の頃はまだ、TVは白黒の時代でした。
タランチュラは黒蜘蛛で、黒い中で異様に目が光るようなイメージがあってそこに得も言われぬ不気味さを感じたものですから、下手にカラーものでなくてよかったと思います。
タランチュラが吐く糸が白だったことも、好対照であったため、より黒を生かすものとなっていたと思いますね。
ウルトラQは特撮怪獣ものだったと思いますが、タランチュラは怪獣というより化け物でしたね。