ダークザギ
「ダークザギ」

邪悪なる暗黒破壊神というよりは大規模な破壊力を伴った闇の支配者でした。
人の抱える恨みは、偶発的に抱えてしまうことと恣意的に抱えらさせられてしまうことがありますけど、言ってみれば何十年もの長い時間をかけて、抱えざるを得ない恨みを増幅させるようにシナリオを描き、そこにスペースビーストを交えて作った状況は更なる恨みを増幅させ、恨みを変えた人はもはやその人一人の恨みだけでは済まなくなっていきました。
恨みというか忘却の果てに行かせられないその思いは、本能的なところに刷り込まれ、恨みという一言では表現しようのないそうしたことは、いわゆる人間の心の奥底にある闇の部分でしょう。
そうした闇に負けない力を人間は成長とともに身に着けていくものですが、中にはそれに負けてしまう者もいます。
闇という心の根みたいなものがどこで顔を出すのか、それに負けてしまうのか打ち勝つのかはその人の人となりだけではなく、状況と環境が大きく影響します。
ダークザギは、それらを操作してこの世を闇夜に染めてしまう存在だったのかもしれません。
ウルトラシリーズは、光の国の戦士が地球にやってきたことから始まっていますから、昭和であれ平成であれテーマは光でした。
打ち消すことのできない光は正しく生きようとする人にとって欠かすことのできないものということが昭和であるならば、光は希望というのが平成の光でした。
いずれにしても光に満ちた世界で生きて反映していくのは、自分の心にあるはずの光だったわけです。
こうした光は闇があってこそのものですが、逆に言えば光がなければ闇の存在意義はありません。
宇宙空間は闇の世界ですから、世界の本来の世界は闇であるかもしれませんが、生命体の繁栄には光が必要であり、それは恒星から浴びるものと生命体の心根に根ずいているものがあるはずです。
闇も含めて、光も人造的に操作できるものでないところに、生命体は神秘的領域を求めているのかもしれません。
ダークザギは、ある意味その神秘的な闇を操作していたということになりますから、闇の神に近い存在で、ダークファウストもだーむメフィストもダーク裂きからしてみれば操り人形の一つに過ぎず、それに対峙しようとした人はそれ以下の存在だったかもしれないと思うと、計ることのできない恐ろしさを感じてしまいます。
ダークザギ④
ダークザギの正体は、20年以上前に地球にやって来たM80さそり座球状星団の異星人「来訪者」が、スペースビーストを駆逐するために造り上げた対ビースト用最終兵器人造巨人ウルティノイド・ザギで、光物世界における神秘的存在であったウルトラマンノアを模して作り上げられたいわゆるアンドロイドだったはずのところ、人を捕食して進化を図ろうとしたスペースビーストに対抗して、自己進化プログラムが内蔵され、それが意に反して暴走してしまったところに闇の支配者のような存在になってしまった要因があるようです。
対スペースビースト対策上のアンドロイドが、闇に走ってしまったことは「来訪者」にとっても皮肉なことで、素の暴走を止めることができなかったようです。

ウルトラマンノアを模して造られていたわけですから、本来ダークザギとウルトラマンノアは同等の力を持つ神秘的存在であったところ、最終決戦でウルトラマンノアが圧勝したのはウルトラマンノアには希望の光が集約していたことにあるのでしょうね。
闇の力に飲み込まれないよう心に希望の光を宿し続けるのは、人間のやるべきことかもしれません。
そしてそれは人と神をつなぐ唯一の必要性なのかもしれません。
ダークザギ⑥