クロノーム④
「時間怪獣 クロノーム」

時を操る怪獣はそれまでも時に出ていたような気がしますが、ウルトラマンメビウスに登場したクロノームはエンペラ星人の使者であり、人の記憶に潜り込むことで過去へ遡る怪獣でした。
時を操るとか時を遡るとは、まさに夢の世界のようで、いかにも特撮怪獣番組に出てきそうな設定の怪獣だったと思います。

人の記憶が抜け落ちることはなく、深淵の淵まで行ってしまう記憶はいわば忘却の世界に入ってしまった記憶なのかもしれず、それでも記憶が無くなるるなんてことはないのかもしれません。
人は時の流れに乗って生きていく訳ですから、ボーっとしていてもそれを含めて何かしらしているものです。
今の記憶を土台に先へ進むのが人を始めとした生き物ですから、その記憶をもとに過去に遡るなんて、まさに夢の世界です。
時の刻みはメトロノームの刻むリズムのように淡々と進んでいきますから、ある意味生き物にとってはこの変えようのない流れは残酷なことなのかもしれません。
クロノームは、その人の記憶を利用することで過去に遡って、その人の存在を操作する怪獣ですが、利用された人の記憶は覚えてる範囲ではなく、深淵の淵まで行ってしまった記憶、或いは避けたくなるような記憶だったのでしょう。
しかし、あくまで人の記憶を利用して、、、という事でしたから、エンペラ星人の配下にいたという事もあって記憶の先に行くことはできなかったようです。
時を操るというクロノームの設定は、そういう意味では誤りだったかもしれません。
外見上ウミウシのような姿だったのは、決まった形を持たない怪獣であるという事をアピールすることで時の流れというどうしようもないことに生き物の意思を持ち込むことを意識した表れだったのかもしれません。
クロノームは触覚の下部から放つ強烈な破壊光弾を発し、電流を放つ触手を伸ばしたり、白い煙を出して一時的に時間の狭間に身を隠す攻撃法を持つと言うこと自体、定型を持ちそうもない怪獣らしいところとそうでないところがありますが、これは時の流れの狭間で出てきてしまった難解な怪獣という事の表れだったかもしれません。
クロノーム②