サソランジン⑤
「サソランジン」

改造人間の悲哀、というものが仮面ライダー初期の頃には描かれていました。
人間でありながら人間でない、、、これは仮面ライダーV3における仮面ライダー2号こと一文字隼人のセリフでしたけど、そこに脳改造を免れたために自我意識が、皮肉にも働いてしまった悲劇がありました。
仮面ライダー1号、仮面ライダー2号はともにそこを乗り越えて戦士になっていったのですけど、それは仮面ライダーXにおいても描かれていました。
積極的に改造人間になることを望んだ仮面ライダーV3や仮面ライダーストロンガーでは、そういう悲哀は描かれませんでしたけど、自分以外の大事なものを失うこととの引き換えに得てしまった悲哀が、その背中には感じました。
スカイライダーは、水面に映る自分の姿にショックを受けながらも、自分を改造してしまったために押しつぶされそうな罪悪感を持ってしまった化学者を自らの言葉で救うことで、悲哀を別の次元から描いていました。
スカイライダーは仮面ライダー旧1号を原点に描かれた世界の戦士でしたけど、改造人間としての悲哀を角度を変えて描き、さらにサソランジンではもっと違う角度から描いていました。

サソランジンの素体となった人間はなんと美しい女性、身体は完全に改造手術を施され、脳改造はどうかは分りませんが一種の強烈な催眠状態のように洗脳されて操られるところがありました。
ネオショッカーに従わない者は、始末されてしまう体のいい粛清でサソランジンは指令を受けて実行する手先となっていました。
洗脳状態にあるのはサソランジンの胸にかけられていたペンダントでしたけど、そこから発せられる音波はしれに従うことだけが全てであり、改造素体の人間の自我意識は全くありませんでした。
常に改造人間であるサソランジンの姿であればまだしも、指令の音波が途切れ、人間の姿に戻ってしまうことで自我意識を取り戻して、自分が改造された肉体を持ったことを知ってしまうことが余計に悲哀を招いていました。
ペンダントが破壊されても、人間体に戻ってから数時間でサソランジンの姿になっていく様は、素体である人間が美しい女性であったことが極端な逆であったこともあって、余計に悲哀を感じました。
狡猾、残忍な改造人間になってしまうことは、全く人格を無視された怪物に過ぎず、自我意識があったこと自体での悲劇は言葉にはできないでしょう。
それを目の当たりにしてしまったスカイライダーは、すべて自覚から始まると言いつつ、前へ進むどころかより以上の悲劇が訪れてしまったことで、怒りが頂点に達していましたね。

撮影技術も番組の演じ方も覚束ない特撮番組の中では、そういう側面がありながらも感傷ではないにせよ、仮面ライダーというその裏側に潜む何かを感じずにはいられなかった話でした。
サソランジン④
サソランジン②

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