仮面ライダーSPIRITS~逃走・怒り・ルミ①
「仮面ライダーSpirits~逃走・怒り・ルミ」

″「バダン」という神に愛されるキサマらの命 そしてその神を裏切った俺の命 どちらの命に意味がある”

仮面ライダーZXが仮面ライダーを名乗る前、それは単なる殺人兵器でした。
「バダン」の言うがままに殺戮を繰り返していたその様は、記憶を奪い去られて空虚状態であり、それを埋めよとする行為に他ありませんでした。
後に明らかになるJUDO(スサノオ)が宿る為の器として製造されたZXは、それとは異なる肉体に宿っていた魂がJUDO(スサノオ)が宿るためには思い切り妨げであり、ZX製造の過程で取り去られたはずでした。
しかし、その状態でも幻影が見える、、、
それはもともと宿っていた魂の姉であった女の幻影であり、すべてを知っていながら魂状態だけとなっていたため言葉を尽くせず、涙を流すことで状況を訴えかけているという様でした。
抜き去られた魂がもともと宿っていた肉体の主は、その涙に敏感に反応し、拒絶反応を起こしていましたが、パーフェクトサイボーグであったはずのZXに残されたわずかな抵抗でした。
それをバダン科学陣が知ることになり、記憶が抜き取られていたZXはやはり記憶を埋めようとして指示されていたバダンの指令に背くかのように、バダンから逃走しました。
真実に気が付いているともZXもバダンも分からない状態で、JUDO(スサノオ)が宿ろうとして作り上げた器が手の中から逃げられたとするバダンが取り返そうとして、器の争奪戦いが始まりました。
仮面ライダーSPIRITS~逃走・怒り・ルミ②
これは記憶を得ようとすると言うことではなく、敏感に反応して訴えかけていた女の涙を止めようとすることで、それが後に記憶を取り戻していくきっかけとなっていました。

この時点ではまだ仮面ライダーではなく、あくまでZXであり、そのため冷徹な感じが支配していましたけど、バダン科学陣の言うように海堂博士を追うことで、記憶を取り戻そうとするきっかけをつかもうとしていたことが、元は人間であったことに起因する感情を一つずつ取り戻していくことになります。
追手であったカメレオロイドの行動は、基本的に器を取り戻そうとするものであったところ、バダンの使者に追いつ追われずの中で巡り合った老人を無惨に殺めたことで、逆にZXに人間としての本能的な感情を呼び起こすきっかけとなり、これが守るべきルミとの出会いを招くことになります。

ばだまだZXが自我を取り戻すのには時間がかかりますが、その運命に背くかのような行動に出たのは女の涙だけではなく、パーフェクトサイボーグとは言え完全なものではなかったために人間としての本能が残っていて、それが拭い去ることが不可能であったためであるはずです。

神という人間の天敵、それに添うか背くか、それがこの時点でのZXとタイガーロイドとの差でもありましたけど、何が正しいのかとなると本能の感じたところを辿っていくことこそが人間であったものの進むべき道なんだろうと思います。
仮面ライダーSPIRITS~逃走・怒り・ルミ③