ムカデタイガー②
「ムカデタイガー」

ゲルショッカーの改造人間は、2つの動植物を融合させていたところが大きなポイントでした。
一方の動植物の特徴と他方の動植物の特徴の特徴は、そのバリエーションが増えること以上に組み合わせの具合が問題だったような気がします。
2つの動植物とはいっても癒合の具合が良かったな、と思えたのは2体だけでした。
一つはガニコウモル、もう一つはサソリトカゲス。
素体となった人間の具合の問題はありこそすれ、動植物の融合具合を思うと攻撃性だけではなく、防御の面でも優れたものを表現できていたと思いますね。

それ以来の傑作となったのはムカデタイガー。
ムカデの触覚を生かした催眠音波の発信は、対仮面ライダー新1号との戦いで最後まで足かせになっていたほどの効果をもたらしました。
その戦いの中で印象的だったのは、虎=タイガーの体力と怪力を生かしたムカデパンチでした。
ムカデタイガーが優れていたのはムカデパンチに代表される怪力とそれが繰り出される基となった強靭な体力で、そこからもたらされる脚力もかなりなものだったはずです。
タイガージェットというムカデタイガーのジャンプ力もライダージャンプを上回り、ムカデパンチの破壊力もライダーキックのそれを上回っていたようです。
そこにムカデタイガーの右手はムカデのハサミ、口からは火炎を吐くという怪人特有の能力まであったわけですから、おそらく正面から仮面ライダー新1号と相まみえていたら、能力的に上回っていたムカデタイガーの方に分があったでしょうね。
仮面ライダー新1号には、ムカデタイガーにない頭脳と歴戦を戦い抜いてきた戦歴・経験に裏打ちされたインサイドワークがあたわけですから、そこも重視しないといけません。
だからこそ、ムカデタイガーは自らの能力を駆使しながら少年仮面ライダー隊を催眠音波で操ろうとしたのでしょう。
ムカデタイガー⑤
仮面ライダー新1号がゲルショッカー改造人間と相打ちに持ち込んでいたのは、ガニコウモル以来で、それだけ策略にも長けた強敵でした。
寸前に放ったライダーハンマーキックにも動じなかったムカデタイガー、正面から仮面ライダー新1号とやりあうシーンをもっと見たかった改造人間でもありました。

ムカデとタイガーの融合具合は、本来ゲルショッカーがもたらそうとしたグロテスクさが表面に出ていてもよかったと思っていた中で、それが実現していた一つの表れでもありました。
ムカデタイガー①